原料費調整制度とは?ガス料金が毎月変わる仕組みを解説
ガス料金の請求書を見ていると、毎月「原料費調整額」という項目が変わることに気づきませんか。ときには大きなプラス、ときには大きなマイナスになります。なぜこのような変動が起こるのか、その仕組みを詳しく解説します。
原料費調整制度とは
原料費調整制度とは、天然ガスやプロパンガスなどの輸入価格の変動を、毎月のガス料金に自動的に反映させる制度です。国際的な価格変動の影響を、ガス会社と利用者で分かち合う仕組みになっています。
この制度がなければ、輸入価格が上がったときはガス会社が損失を被り、下がったときは利用者が損失を被ることになります。原料費調整制度は、その責任を公平に分配するために存在するのです。
国際的なエネルギー価格変動を、毎月のガス料金に自動反映させる制度
ガス会社と利用者で価格変動のリスクを分かち合う
計算方法:3ヶ月遅れの仕組み
計算プロセス
原料費調整額は、複雑な計算プロセスを経て決定されます。基本となるのは、LNG(液化天然ガス)の輸入価格です。
例を挙げます。2月の請求額に含まれる原料費調整額は、11月~1月の3ヶ月間のLNG輸入価格の平均に基づいて計算されます。このため、現在のLNG価格の変動が料金に反映されるのは、2ヶ月~3ヶ月後ということになります。
| 請求月 | 基準となる期間 | 説明 |
|---|---|---|
| 2月請求分 | 11月~1月の平均 | 3ヶ月遅れで反映 |
| 3月請求分 | 12月~2月の平均 | 3ヶ月遅れで反映 |
| 4月請求分 | 1月~3月の平均 | 3ヶ月遅れで反映 |
基準値からの差分計算
東京ガスでは、基準となる標準価格が設定されています。実際のLNG輸入価格がこの基準値よりも高ければプラス調整、低ければマイナス調整が行われます。
この計算式により、毎月の調整額が決定されます。基準値は定期的に見直されますが、大幅な変更は行われません。
東京ガスエリアの特徴
全社が東京ガス連動
東京ガスエリアでは、複数のガス会社が営業していますが、ほぼすべての会社が東京ガスの原料費調整額に連動した価格設定をしています。つまり、このエリアでどのガス会社を選んでも、原料費調整額は同じ月に同じ方向(プラスまたはマイナス)に動くということです。
ガス会社を乗り換えても、原料費調整額の変動は避けられません。ただし、基本料金と従量料金は会社によって異なるため、トータルのガス代は変わります。
上限制度
過度な上昇を抑える仕組み
原料費調整制度には、上限が設定されている場合があります。これは、国際的な価格急騰から利用者を守るための措置です。上限を超える分については、ガス会社が吸収することになります。
2022年以降のエネルギー価格高騰の際、政府補助金によって上限が引き上げられ、利用者負担の上限が決められました。これにより、ガス代が無制限に上昇することが防がれています。
過度なガス代上昇から利用者を保護
上限を超える分はガス会社またはエネルギー供給企業が負担
政府補助金と組み合わせて実施
政府補助金との関係
2022年の国際エネルギー価格高騰により、日本政府は電気・ガス代の補助を実施しました。この補助金によって、原料費調整額が上昇する際の負担が軽減されました。
補助金の終了時期により、原料費調整額の変動が大きくなることもあります。補助が終了すると、それまで抑制されていた調整額が一気に反映されるためです。
今後の見通し
LNG国際価格の推移
2023年~2024年にかけて、LNG価格は相対的に安定傾向を示しています。ただし、地政学的なリスクやエネルギー需要の変動により、再び急騰する可能性は存在します。
利用者ができること
原料費調整額の変動を避けることはできませんが、基本料金と従量料金のコントロールはできます。ガス会社の乗り換えによって基本料金を下げたり、生活習慣の工夫で従量料金を削減したりすることで、トータルのガス代を下げることは十分可能です。
原料費調整額が高いときだからこそ、他の部分で節約を心がけることが重要になります。
まとめ
原料費調整制度は、国際的なエネルギー価格の変動を、利用者のガス料金に自動的に反映させる仕組みです。3ヶ月遅れで反映されるため、現在のエネルギー価格とガス料金の間には時間差があります。
東京ガスエリアでは、ほぼすべてのガス会社が東京ガスの調整額に連動しており、乗り換えても調整額自体は変わりません。しかし、基本料金と従量料金の差異により、トータルのガス代は大きく異なるため、乗り換えの意義は十分あります。